良いクラシックギターに必要な7つの要素
良い音で鳴ること
良い音というのは、人によってかなりの差があります。どのような音楽を奏でたいかによっても違ってくる為、正解はありません。河野ギター製作所では、河野賢、桜井正毅、君島聡はそれぞれ目指したい音が異なっている為、それぞれの設計があります。
さらに木材、一つ一つにおいても個体差はあるので、楽器店などで実機を弾き比べてたり、ネット上の動画で比較して頂きご自身の好みの音を探してもらうのがよいと思います。
音量が豊かであること
音量は音楽表現のダイナミックレンジを広げるのに非常に重要な要素です。近年、海外のコンクールにおいて受賞を受ける人のほとんどが、音量を重視した作りのギターでの受賞となっています。
ギターの音量不足の問題を解消する為に、マイクとスピーカーを用いる工夫や、表面板を軽くして鳴らすダブルトップ構造、ラティス構造などが生み出されましたが、音色の問題や耐久性の問題を内包しています。
河野ギターの工夫は、力木やその他の設計によって、音量、音色、耐久性の全てを向上させるギター作りを目指しています。
音量が豊かであること
ブレーシング設計、桜井正毅。桜井正毅のブレーシング
アシンメトリーブレーシング音のバランスがよい事
ギターは構造的に、低音弦は重量があり指からのエネルギーが与えやすいのに対し、高音弦は比重が軽くエネルギーを与えにくいので、多くの名工達は力木設計において高音の剛性を高める事で高音を響きやすく改善を試みてきました。1弦の12Fから先のハイポジションを他のポジションと同様に鳴らすには工夫が必要で、河野ギター製作所においてもかなり気をつかって設計をしている部分です。
音程誤差が少ないこと
ギターはフレット楽器であるがゆえに、非常にシビアで正確なフレッチングが求められます。河野ギター製作所ではより正確なフレッチングを行うため、フレットの溝はオリジナルの小さい刃を工房員自らが目立てを行いながら一つずづ丁寧に切ってゆきます。また、弦の物性は1弦ずつ異なるため、振動の理論通りの設計では音程誤差が生じてしまいます。その為、駒位置やサドルに角度をつける事で、より正確な音程を再現することができます。
河野ギターでは近年より、弦長補正研究の第一人者であるメディアカームの服部文厚氏の提唱する補正理論取り入れる事により、世界でも屈指の音程誤差の少ないギターとなっています。
音程誤差が少ないこと
フレット打ちこみ By Nishino弾きやすいこと
個人所有のMasaki Sakurai Model Maestroを演奏する福田進一弾きやすいこと
弾きやすさ においても、個人差はかなり大きいでしょう。手の大きさも腕の長さも違うので正解はありません。ただし、ネックの形や指板のカーブにおいては、河野ギターではギタリストやユーザーの非常に多くのデータを参考にし、弾きやすさの最大公約数を狙った形状に落とし込んでおります。弦長や弦幅、ネックの厚みも自在にお作りすることはできるので、実機に触れて頂き、ご要望下さればお客様にとっての理想の弾きやすいギターに近づけるようにお作り致します。
壊れにくいこと
河野ギター製作所で作られる楽器は、弾き手とともに成長していくパートナーとしての楽器です。ですので、適切な管理さえしていれば生涯寄り添える楽器を目指して作っております。老舗工房ならではの膨大な材料のストックから得られる長期の自然乾燥、要所における適切な人工乾燥、工房内の温湿度調整、管理を徹底して行っております。その結果、長年の信頼を勝ち得て世界のどこに出荷しても壊れない ギターと言われるまでになりました。(ただし、ギターはどうしても個々の個体差があることと、ギターは完成後に弦が張られ、その後は約40キロの張力がかかり続ける事になり、必ず状態変化が起こります。張力に対する変化が安定するには数年かかり、その変化に対応する為に弊社では国内販売のギターには10年という長い製品保証期間を設けております。)
壊れにくいこと
ブレーシング接着 By Shimazaki見た目が美しいこと
ヘッド作り By Saito見た目が美しいこと
ギターは楽器であると同時に、視覚的な芸術作品でもあります。ギターの美学は、ミュージシャンが演奏を楽しむだけでなく、コンサートで観客を視覚的に楽しませることにも貢献します。
ギターの各パーツに使用する樹種の選択、木目のパターン、プロポーション、ヘッドストックやロゼッタのディテール、ヒール、ブリッジ、チューニングマシンの選択、パーフリングやニスなどの仕上げはすべてギターの美観に関わるもので、そのバランスは各ルシアーの個性的な感性で決定されます。